2021年03月18日 |
北里大など、サンゴの生育妨げるメカニズム解明 |
【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:産業技術総合研究所 |
北里大学、産総研、琉球大学などの研究グループは17日、市街地や農地に近い海域で採取した石灰質の砂とともに稚サンゴを飼育したところ、砂からリンが高い濃度で溶出し、骨を作るのを妨げることを初めて明らかにしたと発表した。 過度の栄養塩が海に流れ込むと、サンゴが減少することは知られていたが、科学的なメカニズムは分かっていなかった。今後のサンゴ保全に役立つと期待される。 同成果は3月17日に英国王立協会が刊行する 「Royal Society Open Science」に掲載される。 研究は今回、沖縄島南部地域の市街地や農地周辺の石灰質の砂を採取して行った。 砂とともにコユビミドリイシ Acropora digitiferaの稚サンゴを飼育したところ、砂から飼育海水に約20μMと高濃度のリン酸塩が溶出し、稚サンゴの骨格形成を妨げることが明らかになった。 海水温上昇や海洋酸性化など地球規模のストレスの影響によってサンゴが減少することは指摘されているが、沿岸域の土地利用の変化や開発にともなう生育環境悪化の影響も懸念される。 今回の研究は、科学的に証明が難しかった栄養塩によるサンゴへの直接的な悪影響の一端を証明できたと点で意義があり、サンゴ礁保全に貢献することが期待できる。 ニュースリリース参照 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20210317/pr20210317.html |