2021年03月23日 |
九大「ウイルスのピーク早い」治療困難な理由解明 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:九州大学 |
九州大学大学院 理学研究院の岩見真吾准教授は23日、米インディアナ大学の江島啓介助教らとの共同研究により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗ウイルス薬剤治療が、他のコロナウイルス感染症と比較して困難な理由の1つを解明したと発表した。 一般的に細胞から上気道(鼻・咽頭・喉頭)へ排出されるウイルス量がピークを迎える前に、ウイルス複製阻害薬剤の投与を開始することは、体内のウイルス排出量を減少させる上で重要なことはよく知られている。 研究グループは今回、新型コロナだけでなく、過去に流行した中東呼吸器症候群(MERS)および重症急性呼吸器症候群(SARS)の臨床試験データも収集・分析した。 生体内でのウイルス感染動態を記述する数理モデルを用いて解析した結果、新型コロナウイルスは過去に流行したのMERSやSARSと比較して、早期にウイルス排出量がピークに達するとの実態をつかんだ。 さらに、コンピューターシミュレーションによる分析から、たとえウイルス侵入阻害薬剤が強力であっても、ピーク後に治療を開始した場合、ウイルス排出量を減少させる効果が限定的であることも見いだした。 今回明らかにしたCOVID-19の生体内の感染動態は、治療戦略を開発する上で極めて重要な定量的知見となる。 同研究の成果は3月23日(日本時間)、国際学術雑誌「PLOS Biology」に掲載される。 ニュースリリース参照 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210323/pdf/20210323.pdf |