2021年03月25日 |
産総研など、抗ウイルス・コーティング技術開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:産業技術総合研究所 |
産総研の微粒子スプレーコーティング研究チームは24日、就実大学(岡山県岡山市)薬学部の塩田澄子教授らと共同で、即時性に優れ持続性のある抗ウイルスコーティングの作製技術を開発したと発表した。 ウイルス不活性化評価試験(ISO 21702)で、不活性化率99.997%以上を達成した。 この技術は、 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含むエンベロープ型ウイルス全般に効果がある界面活性剤を含浸可能で、かつ徐放するコーティングを作製できる。 今回、産総研の技術「エアロゾルデポジション(AD)法」によってアルミナ(Al2O3)ナノポーラス膜を作製し、これに消毒で広く用いられているクロルヘキシジン(CHX)を含浸させたコーティングが、顕著な抗ウイルス効果を示した。 今回開発した技術により、ステンレス、ガラス、樹脂など多様な素材の表面に常温で肌触りの良い抗ウイルスコーティングを作製可能だ。徐放効果があることから、頻繁に清拭を行うことが難しい場面での活用が期待できる。 今後企業に呼びかけて早期の実用化を目指す。 <用語の解説> ◆エンベロープ型ウイルス : エンベロープはウイルス粒子のもっとも外側に位置する脂質の膜。エンベロープ上に存在するタンパク質は、宿主への感染、免疫系からの回避などに重要な役割を果たす。ウイルスにはエンベロープを持つタイプと持たないタ イプがある。 ◆エアロゾルデポジション(AD) : 法固体状態のセラミックス微粉末を常温で基板に吹き付けることにより、加熱することなく機械的な衝撃力だけで、緻密で高透明、高強度、高密着力のセラミックス皮膜を形成する手法。従来の製膜法に比べて飛躍的な製膜速度の向上とプロセス温度の低下が実現した産総研発の技術。 |