2021年04月20日
生命科学インステ、Muse細胞製品 臨床試験開始
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:生命科学インスティテュート

 生命科学インスティテュート(本社 東京都千代田区、木曽誠一社長=LSII)は20日、新型コロナウイルス感染症に伴う急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象疾患としたMuse細胞製品「CL2020」の臨床試験を国内で開始すると発表した。

 新型コロナの流行が世界規模で拡大する中、感染症によるARDSの治療や重症化対策、後遺症対策が課題となっている。特に、医療体制の逼迫を招くARDSへの対応は喫緊の課題といえる。

 ARDSは、血液中の酸素レベルが急速に低下し、重度の呼吸不全となる症状だが、死亡率が高く、呼吸器疾患の中では最も治療が難しい病気の一つで、肺の炎症に伴う肺水腫が特徴。現在のところ、確立された薬物療法はなく、新しい治療法の開発が望まれている。

 Muse細胞はもともと生体に備わる多能性の修復幹細胞で、ドナーから採取したMuse細胞をそのまま点滴で投与すると傷害臓器に選択的に集積し、分化によって傷害細胞を置き換わる。また長期間傷害臓器に留まることで抗炎症作用、血管保護作用、抗アポトーシス効果、組織保護効果などにより、高い組織修復効果を示す。

 さらに、HLA適合検査や免疫抑制剤の投与を必要とせず、そのまま投与できるという他の幹細胞にない性質を持っている。現在実施されている急性心筋梗塞、脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷、新生児低酸素性虚血性脳症などの治験は全て、ドナー由来のMuse細胞製品の点滴投与によって行われている。
 LSIIは、これまでの知見をもとに、ARDSの新しい治療法の開発を目指す。


ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1618894071.pdf