2021年05月21日
京大、電子不足化した有機π共役分子創出に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学の関修平教授(工学研究科)は21日、名古屋大学、奈良先端技術科学大学などと共同で、イミド基とイミン型窒素原子の同時挿入という分子設計指針に基づき、高性能なn型有機半導体として機能する新規電子不足π共役分子の創出に成功したと発表した。

 ベンゼンやナフタレンに代表されるπ共役分子は、液晶や有機発光ダイオードなど先端技術の基盤要素であり、これらの分子はπ電子を豊富に持つため、電子供与能に優れ、p型半導体としての応用が期待されている。一方、電子不足なπ共役分子の創出は比較的遅れているため、大気安定かつ高性能なn型半導体材料の創出に制限をかけている。このため、電子不足π共役分子の設計指針の拡張が求められていた。

 関教授らは今回、アンタントレンという電子豊富なπ共役分子に対して、イミド基とイミン型窒素を同時に導入したπ共役分子を新たに設計・合成した。この新物質は優れた電子不足性を示し、電子注入によリ大気安定なラジカルアニオンを与えた。さらに、大気下で動作する高性能なn型半導体として機能した。
 
 同成果は、「イミド基とイミン型窒素の同時導入」が電子不足π共役分子の設計に効果的であることを実証するもので、他のπ共役分子に適用すれば、多彩な物質群の創出に繋がると期待される。

 同成果は5月17日、国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」オンライン版に掲載された。
 
 
 ニュースリリース参照
 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2021-05/210517-seki-26d3cfaa593bcfdf63e9718584217173.pdf