2021年05月24日 |
京大・分子レベルで細孔径を制御したカーボン開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学大学院 工学研究科の生越友樹教授(兼・金沢大学特任教授)、東北大学 材料科学高等研究所の西原洋知教授、岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太教授らの研究グループは24日、焼成のみで分子レベルで細孔径が制御された多孔性カーボンを開発したと発表した。 これまで多孔性カーボンは、カーボン骨格をガスや薬品により破壊して細孔を形成する賦活法で主に合成されてきた。しかし賦活法では、材料調製時のカーボン骨格の構造変化が激しく、もとのカーボン骨格が残らない、分子レベルでの細孔制御は困難、再現性が良く多孔性カーボンを得るには職人芸的に高度な技術が必要、などといった問題点がある。 本研究では、炭素源の有機分子を合理的に設計し、焼成のみで細孔径が分子レベルで制御された多孔性カーボンを得ることに成功した。 この手法だと、高カーボン化効率のためもとの構造を保ったカーボンが再現性良く得られる上、分子設計によって分子レベルでの細孔径制御が可能となる。得られた多孔質カーボンは、細孔径に適した金属イオンが導入でき、ナトリウムイオン電池として機能することなども確認した。将来的には、特定のサイズの基質のみが反応する触媒への応用が期待される。 同成果は、5月21日に英国の国際学術誌「Communications Chemistry」にオンライン掲載された。 |