2021年05月31日
産総研、世界初・SiCモノリシックパワーIC 開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

 産業技術総合研究所(産総研)パワーデバイスチームの佐藤 弘チーム長らは30日、炭化ケイ素(SiC)半導体を用い、耐電圧1.2 kVクラスの縦型MOSFETと、CMOSで構成された駆動回路を同一チップに集積したモノリシックパワーICを世界で初めて実現し、そのスイッチング動作を確認したと発表した。

 SiCモノリシックパワーICは、電力変換機器の小型軽量化や損失低減などに貢献できるが、SiC CMOSの出力大電流化と高電圧からの絶縁の両立という困難な課題があり、実現できなかった。

 今回、独自のデバイス構造を開発し、SiC CMOSの高電圧絶縁に加えて出力電流増大を同時に達成することに成功した。同技術に基づいて、CMOS駆動回路をSiC縦型MOSFETと同一チップ上に集積したSiCモノリシックパワーICを作製し、世界で初めてスイッチング動作を実証した。

今後はSiC CMOS駆動回路の出力電流をさらに増大させ、SiCモノリシックパワーICの高速スイッチングを目指す。さらに、センサーやロジック回路等も集積し、高機能化を進めることによって利便性を高め、電力変換機器の適用先拡大に貢献する方針だ。

 5月30~6月3日オンライン開催の第33回 International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs (ISPSD)で詳細を発表する。


ニュースリリース参照
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20210530/pr20210530.html