2021年06月18日
東北大、新型コロナ 高精度検査法を開発
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 東北大学多元物質科学研究所の火原彰秀教授と北海道大学 大学院工学研究院の渡慶次学教授らの研究グループは17日、新型コロナウイルスの高性能な抗体検査技術を開発したと発表した。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年12月に最初の感染が報告されて以来、現在まで世界中に感染が拡大している。すでに有効なワクチン接種が行われているとはいえ、感染者を検査によって特定し、隔離等の対策を継続することは今後も不可欠となる。
 
 COVID-19の検査には,一般にウイルスの遺伝子を検出するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法が用いられる。しかし、検査できる場所に制約があり、検査にも時間や手間がかかる、などの課題がある。
 
 一方で、迅速なCOVID-19検査法として用いられているイムノクロマト法による抗体検査にも、定性的な結果しか得られず、判定誤差が生じやすい問題がある。

 研究グループは昨年、これらの検査技術に代わり簡便、迅速かつ高精度に分析できる可能性をもつ蛍光偏光免疫分析法(FPIA)に着目し、蛍光偏光を測定できるポータブルな装置を開発するとともに、鳥インフルエンザ診断に応用できることを報告した。

 今回、ポータブル測定装置を利用して、FPIAを原理とするCOVID-19の抗体検査技術を確立した。
 新たな測定試薬を開発し、ポータブル測定装置の改良を行うことで、新型コロナウイルスの抗体検査を約20分、わずか0.25μLという検体量で実施できる手法を開発した。感染者の血清を用いて評価し、高精度に陽性・陰性の判定ができることを実証した。

 同研究成果は6月5日、オンライン公開の「Biosensors and Bioelectronics」誌に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20210617_03web_covid19.pdf