2021年06月25日 |
九大「大気中のCO2回収と地中貯留構想」発表 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:九州大学 |
大気中から二酸化炭素(CO2)を直接回収する Direct Air Capture(DAC)は、回収するCO2純度の低さが課題とされてきたが、九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の辻健教授、同大学高等研究院の 国武 豊喜 特別主幹教授らの研究グループは25日、膜分離を用いたDACで回収した低純度CO2でも地中に貯留できることを提示するとともに、大気中のCO2を回収・除去するネガティブエミッションに寄与するコンセプトを構築したと発表した。 CO2の利用や貯留(CCUS)には、ふつう高純度のCO2を用いるが回収に多くのエネルギーを要する。また火力発電所などで回収したCO2には窒素酸化物が含まれるため、CO2の純度を高くする必要がある。 しかし、DACで回収したCO2に含まれる不純物は環境に優しい大気物質(酸素や窒素など)であり、CO2の純度が低くても地中貯留できる可能性がある。 そこで研究グループは、DACで回収した低純度のCO2を地中に貯留する可能性について、分子動力学シミュレーションを用い調べてみた。その結果、低純度CO2は高純度CO2に比べてやや深い場所に貯留する必要はあるものの、安全に貯留できることが分かった。低純度CO2の地中貯留が可能になれば、大幅なCO2回収コスト低下が見込まれ、全体コストの低減につながる。 また、DACの場合は大気中から直接CO2を回収するため、設置場所を選ばなくてよい。砂漠や海洋プラットフォームなどで、DACと地中貯留を融合したCO2削減システムの設置も可能になる。 今後CO2を資源として利用する時代が来れば、貯留したCO2を地中から回収・利用する道がさらに開ける。研究グループは今後、同コンセプトを具現化するために、さらに研究を重ねていく方針だ。 本研究成果は、国際誌「Greenhouse Gases: Science and Technology」に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/628 |