2021年07月12日 |
北大、南極の氷河の下で海と氷を直接観測 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学 低温科学研究所の杉山慎教授らは12日、南極ラングホブデ氷河を掘削し、厚さ234~412mの棚氷の下に広がる海を直接観測し、棚氷底面での氷融解とそのメカニズムを明らかにしたと発表した。 近年、南極氷床が氷を失い、水準の上昇につながる地球環境変動として注目されている。氷床の周縁では氷が海に張り出して棚氷を形成し、その底面が海の熱で融けるプロセスが氷床変動の引き金と考えられている。 しかし、厚い棚氷の下へ海水がどのように流入し,どれだけ氷を融かしているのかの測定は非常に困難で理解が遅れている。 今回の研究では、研究チームが開発した熱水掘削システムを用いて、ラングホブデ氷河の棚氷を4地点で掘削し,棚氷下の海水温、塩分、循環を直接観測した。その結果、海水は結氷温度よりも最大1℃ほど暖かく、棚氷の全域で氷の融解が示された。また棚氷全域での測定によって、これまで予想されていた海洋循環の確認に成功した。 測定された貴重なデータは、棚氷下の海洋循環と底面融解の物理プロセスを検証し、氷床数値モデルの精緻化に貢献すると考えられる。 本研究成果は、7月9日公開の「Nature Communications」誌にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210712_pr.pdf |