2021年07月12日
京大など、宇宙空間で電波を生み出す陽子の集団発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学の松岡彩子 理学研究科教授をはじめ名古屋大学、 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、東北大学、金沢大学教授などの研究グループは12日、JAXA・宇宙科学研究所の科学衛星「あらせ」の観測データから、宇宙空間で電波を生み出すイオン(陽子)の集団を検出することに世界で初めて成功したと発表した。

 これは、本研究グループが開発している新しい解析手法によって実現したもので、イオンの集団が動くことによって、電波の周波数が下げられる様子を直接検出したことで明らかになった。この発見によって、宇宙空間で自発的に電波が生み出されている仕組みが明らかになった。

 同研究グループが開発した手法は、宇宙空間に存在するイオンによって作り出される電波の発生過程を、観測データを用いて、電波とイオンの運動を詳細に対応づけることで明らかにするもので、2022年打ち上げ予定の欧州、日米の国際共同木星探査ミッション「JUICE」でも活用され、木星系の超高層大気で、イオンが電波を生み出す過程を明らかにしようとしている。このように、宇宙に存在する様々な種類の電波が生まれる仕組みを解明するのに活用されていくことが期待される。

 本研究成果は、6月29日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
 
 
ニュースリリース参照
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-07-12