2021年07月13日 |
経産省「繊維産業の現状」デジタル化促進を |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:経済産業省 |
経産省の繊維産業のサスティナビリティに関する検討会(座長:新宅純二郎・東大教授)は12日、「今こそ官民が一体となって、サスティナビリティへの取り組みを開始すべきである」とする報告(政策提言)をまとめ、提出した。 報告は(1)繊維産業の現状(2)サスティナビリティに取り組む意義(3)サスティナビリティに係る現状と今後の取り組み、の3章で構成。このうち(3)の今後の取り組みのうち「供給構造」のあり方については、要旨次のように指摘した。 ◆背景 国内アパレルの市場規模は1991年の14.7兆円から、2019年には10.4兆円へと減少した。また背広、ワイシャツ、婦人服といった衣料品の購入数量は1990年代以降、減少傾向にある。一方、1990年に約20億点だった国内供給点数は、2019年には約40億点へとほぼ倍増している。新型コロナの影響で衣料品の販売額は減少し、繊維関連企業にも影響が見られる。 ◆供給量増加の要因・影響 衣料品が(需要に比して)大量生産状況を生み出した要因として、以下のようなことが挙げられる。 1980年代は、DC(デザイナーズ&キャラクターズ)ブランドブームに象徴されるように、高価な商品が多く購入された。しかしその後の景気低迷でデフレが進み、アパレル各社は商品の販売価格を下げ、人件費の安い中国等に生産拠点を移した。 また、百貨店やショッピングセンターは、多くの場所に店舗を持つことで供給先が増えた。アパレル企業にとっては、販売時期のトレンドや気候などを予測することが難しくなり、結果として、購入されない商品を大量に生産する可能性を生んだ。正価販売による売れ残り品が増加し、値引き販売を繰りかえす悪循環が生じている。 ◆デジタル技術の活用 こうした状況の中で課題解決の中心的な役割りを果たすのは、商品企画および販売を担うアパレル企業となる。値引き販売を避け、商品の内容・量・価格を企画段階で決め、販売する際にも各店舗・オンラインでの販売状況・在庫管理を行うことが求められる。 百貨店などでは、購買情報が百貨店側とアパレル企業側で十分に共有されてこなかった。百貨店によってもシステムが異なる、などの課題もあった。このため購買データの標準化など、情報共有の促進や顧客管理、消費動向の把握を進めてはどうか。 ■関連ファイル 「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」 https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210712002/2021070912002.html |