2021年07月14日

名大「明滅オーロラがオゾン破壊を起こす」実証

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：名古屋大学

名古屋大学の三好由純教授（ 宇宙地球環境研究所 ）、京都大学の松岡彩子教授（理学研究科）らの研究グループは14日、宇宙の特殊な電波によって、脈動オーロラと呼ばれる明るさが明滅するオーロラが発生した時に、オーロラを起こす電子よりも1000倍以上のエネルギーを持つ、バン・アレン帯（放射線帯）の高エネルギー電子が高さ60km付近の中間圏にまで侵入することによって中間圏のオゾンが10％以上減少することを発見したと発表した。 　この過程は、同グループによって理論的に予測されていたが、今回、宇宙航空研究開発機構（JAXA）「あらせ」衛星と北欧に設置されている欧州非干渉散乱 (EISCAT) レーダー、およびオーロラ観測ネットワークによる国際共同観測と、本研究グループが開発したシミュレーションを組み合わせた研究によって実証された。 　 　 この成果は、オーロラに伴う宇宙からの電子降り込みが、超高層大気だけでなく中層大気にも大きな影響を及ぼしていることを実証するものとなった。 　 　 中間圏オゾンの変化は、気候変化にも影響を及ぼすことが指摘されている重要な過程であり、本研究の成果は、宇宙と地球大気との関係の新たな理解につながるという意義を有する。 　2023年度からは、国立極地研究所や名古屋大学などが参加するEISCAT科学協会によって、次世代の大型大気レーダーEISCAT_3Dの北欧での運用が開始され、宇宙と地球大気との結合過程の理解がさらに進むことが期待される。 　本研究成果は、2021年7月13日「Scientific Reports」に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2021-07/210709-matsuoka-kurita-9af41f88b3267150d93d4d78c1555e93.pdf