2021年07月20日 |
理研、ビタミンDで高効果のコロナワクチン開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所は19日、効果を高めるアジュバント(免疫賦活剤)としてビタミンDを使い、湿布のように皮膚に貼る、簡単な新型コロナウイルスワクチンの開発を福山英啓副チームリーダー(TL)らが進めており、実用化がも近そうだと発表した。 「貼るワクチン」が実現すれば、注射の打ち手となる医療従事者の確保が難しい地域でも接種が進められ、副反応も抑えられると期待されている。 福山副TLの開発するこのワクチンがユニークなのは、ワクチンと一緒に投与して、その効果を高めるために使用されるアジュバントにビタミンDを使っている点。これまでアジュバントにビタミンDが使われたことはない。 ワクチン接種や感染後に、再感染や重症化が起こりにくいのは、免疫系の細胞が病原体の特徴を覚え、同じ病原体が体内に入ってきた際に素早くその病原体を攻撃する抗体をつくるからだ。病原体の特徴の記憶に重要な役割を果たすのは「メモリーB細胞」。ビタミンDによって活性化された免疫反応によって、メモリーB細胞がより多くつくられることが分かった。 体内でビタミンDが働く際にはまず、ビタミンD受容体という細胞内にあるタンパク質に結合する必要がある。いろいろな種類の細胞を調べたところ、皮膚の表皮にあるケラチノサイトという角化細胞に最も多くのビタミンD受容体があると分かったという。 今後、製薬企業やマイクロニードル製造企業と共同で実用化を目指す。2021年秋には、まずマウスで効果を確かめる実験を始める予定だ。 |