2021年07月20日
米国、CRモノマー 住民への発がんリスク高くない
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:デンカ

 デンカは20日、米国子会社のデンカ・パフォーマンス・エラストマー社(DPE)が、7月15日にアメリカ環境保護庁(EPA)に対し、クロロプレンモノマーへの暴露による発がんリスクの見直しを可能にする新たな毒性評価モデルを含む、クロロプレンモノマーの毒性評価に関する正式な「見直し要請(Request forCorrection/RfC)」を提出したと発表した。

 RfC はEPA が最善の科学に基づいて判断を下すことを目的に策定した科学的な検証プロセス。
 この新しいモデルは、生理学的薬物動態(PBPK)モデルと呼ばれ、人体への健康リスク評価に関するEPA および米国科学アカデミーの推奨事項に則っている。
 
 EPA はクロロプレンモノマーによる発がんリスクの評価を2010 年に実施している。EPA の統合リスク情報システム(IRIS)に登録されるこの評価は、1系統の雌のマウスに対する影響にのみ基づいていた。
 
 新モデルの結果は、ピッツバーグ大学の研究者らが最近更新したクロロプレン製造工場の勤務者に関する数十年にわたる研究や、ルイジアナ州の発がん率についてまとめた、ルイジアナ州腫瘍統計局の統計データなどのクロロプレンモノマーに関する既存の疫学的研究と一致している。
 
 いずれも、セント・ジョン・ザ・バプティスト郡にあるDPEの製造工場から排出されるクロロプレンモノマーによって、同工場の勤務者や近隣住民の発がんリスクが高まってはいないことを示唆している。


ニュースリリース参照
アメリカ環境保護庁によるクロロプレンモノマー毒性評価の見直しについて(第3報)
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1626759000.pdf


◆関連ファイル

▽「PBPKモデルの評価結果」は、2020 年1月に査読付き科学雑誌「Inhalation Toxicology」に掲載された。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/08958378.2020.1715513

▽本PBPK モデルとクロロプレンモノマーに関する疫学的研究について考察したDPE のRfC は、以下のEPA のサイトから入手できる。
https://www.epa.gov/quality/rfc-21005-chloroprene