2021年08月02日 |
東北大、10倍のプロトンを含むイオン伝導体を合成 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東北大学 |
脱炭素社会実現に向けて水素の効率的な製造やその有効活用が注目されているが、東北大学大学院 工学研究科の高村仁教授らの研究グループは、このほど燃料電池や高効率水素製造に応用可能なプロトン伝導体 の合成に成功したと発表した。 プロトン(H+)伝導体は燃料電池や水蒸気電解による水素製造に必須の材料だが、従来、固体中に導入できるプロトン量には制約があった。 高村教授らは、8万気圧の高圧下で従来の約10倍のプロトンを含有し、450~500 ℃において10-2 S/cmの高いプロトン伝導性を示すBa-Sc系酸化物の合成に成功した。 今回、第一原理計算により、プロトンの特異な配位状態を解明した。 この研究は、異種金属のドーピングによらず、高圧合成により多量のプロトンを酸化物中に導入し、その酸化物をプロトン伝導体化する新たな材料設計指針を提案した。 この手法は、異種金属のドーピングを必要とせず多量の伝導キャリアを注入できる。このため他の材料系のプロトン伝導体や、同様に小さい可動イオンを含むリチウム系酸化物にも適用可能と考えられ、全固体電池の電解質への応用も期待される。 同成果は、2021年7月29日に米国化学会の学術誌「Chemistry of Materials」に掲載された。 東北大学 ホームページ参照 : https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20210730_01web_proton.pdf |