2021年09月01日
東北大「トリプロン」のスピン流伝搬を実証
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学金属材料研究所の藤田全基 教授らの研究グループは1日、茨城大学、東京大学、岩手大学などと共同で、トリプロンと呼ばれる準粒子がスピン流を伝搬することを実証したと発表した。

 電子の磁気的な性質である「スピン」の流れは、電子の電荷の流れである電流と対比され、電流では不可能であった省電力による情報伝達や情報処理、エネルギー変換などに利用できる。このため次世代エレクトロニクス候補「スピントロニクス 」の重要な要素と期待されている。
 
 従来、スピン流はその磁気的な性質から、金属や磁石などが主な研究対象とされてきたが、近年、磁気秩序を持たない「量子スピン系 」と呼ばれる物質群で従来と全く異なるスピン流の存在が明らかになってきた。

 「量子スピン系」物質群の中の「ダイマースピン系」と呼ばれる物質群においてトリプロンがスピン流の担い手となることがわかった。今回の研究によって、スピン流を活用できる物質がさらに拡張され、スピントロニクスの研究に一層促進されることが期待される。

本研究成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」(8月31日付)にオンライン掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20210831_04web_Triplon.pdf