2021年09月07日 |
京大、成人T 細胞白血病リンパ腫の発がん機構解明 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学の小川誠司 医学研究科教授をはじめ国立がん研究センター、慶應義塾大学、宮崎大学などの研究グループは7日、最新技術である単一細胞マルチオミクス解析を用いて、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染を原因とする成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の多段階発がん分子機構を解明したと発表した。 単一疾患としては最大規模の臨床検体を用いて、最新技術である単一細胞マルチオミクス解析を実施した。 ■今回研究の主な成果 (1)世界的にも最新の技術である単一細胞マルチオミクス解析を用いて、HTLV-1感染を原因とするATLの多段階発がん分子機構を解明した。 (2)HTLV-1感染細胞を単一細胞レベルで正確に同定し、HTLV-1感染細胞のクローン拡大およびATLへの進展に伴う細胞動態の変化を分子レベルで網羅的に明らかにした。その過程で、新たなHTLV-1感染関連分子やATL進展関連分子を複数同定し、新たな治療標的候補となりうることを実験的にも証明した。 (3)HTLV-1感染やATL発症に伴う免疫微小環境の変化、腫瘍細胞の遺伝子異常による微小環境の変容などのさまざまな事象が、多くの機能解析実験と組み合わせることでひも解かれた。 これらの成果は、HTLV-1感染からATLへの進展に至るまでの長い期間における多段階の発がん分子機構を網羅的に明らかにした初めての研究であり、新たに同定した感染や腫瘍化に関連する分子や、免疫環境動態の変化は診断のためのバイオマーカーや新しい治療標的にもなり得るた。このため今後、難治性疾患であるATLの診療に役立つことが期待される。 同研究結果は、9月3日に国際学術誌「Blood Cancer Discovery」に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2021-09/20210903-ogawa-deb131bc07679d634de394e43e336126.pdf |