2021年10月07日 |
「ヤモリ」はなぜ夜間でも見えるのか/岡山大 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:文部科学省 |
ヒトは、明るい所では色を見分けられる(三色型色覚)が、暗がりではできない。ヤモリにそれができるのはなぜか。岡山大学の小島慧一助教(医歯薬学総合研究科)らの研究グループはこのほど、夜行性のヤモリが暗がりで色を見分ける特殊な能力を持つメカニズムを解明したと発表した。 それによると、理由はヒトは明るい所で働く光センサータンパク質(錐体視物質)を3種類持つものの、暗がりで働く光センサータンパク質(ロドプシン)を1種類しかもたないためで、この暗がりで色が識別できないことは多くの脊椎動物に共通している。 ヤモリは多くの種が夜行性で、暗がりで色を識別していると考えられる。ただ、ヤモリはロドプシンをもたないため、本来明るい所で働く3種類の錐体視物質を暗がりで利用する必要がある。そこで研究チームは、夜行性ヤモリの錐体視物質の性質を調べた。 その結果、錐体視物質の性質が数個のアミノ酸の置換によって「暗がりでの視覚」に適した形に変化していた。つまり、ヤモリは光センサータンパク質の性質を独自に変えることで、「暗がりで色を識別できる能力」を獲得したと言える。 私たちの身近に棲むヤモリは、多くの脊椎動物が持たない特殊な色覚能力を駆使することで闇夜に潜む害虫を正確に認識し捕食していると考えられる。 本研究成果は10月2日、国際学術誌「Science Advances」に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2021-09/20211002-yamashita-74c43f40adac57d89e21ed92e1e6f1f8.pdf |