2021年11月11日 |
害虫が共生細菌の力で農薬に強くなる仕組み解明 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:産業技術総合研究所 |
産業技術総合研究所(産総研)生物プロセス研究部門の菊池義智 主任研究員 (微生物工学)らの研究グループは10日、害虫が腸内の共生細菌との作用で農薬抵抗性を獲得する仕組みを初めて解明したと発表した。 共生細菌による農薬解毒を宿主昆虫が助けていることをつかんだ。北海道大学、秋田県立大学、農研機構などとの共同研究による成果。 害虫の農薬抵抗性については、腸内に共生する細菌の関与の仕組みまでは知られていなかった。産総研は今回、他の機関と連携して、害虫カメムシの腸内で共生細菌がどのように農薬を解毒しているかを調査し、解毒に不可欠な共生細菌の遺伝子を特定した。 共生細菌は、この遺伝子により害虫の体内に入った農薬を速やかに分解する。農薬の分解産物は共生細菌自身に対して毒性を持つことがわかった。この物質は宿主である害虫に対しては無毒であり、害虫は速やかにこれを体外に排出する。その結果、共生細菌は農薬を解毒して、害虫の体内で生存し続けることができる。 今回、農薬解毒過程において、害虫と共生細菌が相互作用していることを発見した。共生細菌の農薬分解遺伝子を標的にした新たな害虫防除法の可能性を得た。 この成果は、11月5日に英国の学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20211110/pr20211110.html |