2021年11月12日

北大「グリーンランドの氷河融解と環境」解明

【カテゴリー】：行政/団体（環境/安全） 【関連企業・団体】：北海道大学

北海道大学大学院低温科学研究所の杉山　慎教授らの研究グループは11日、1980年代の航空写真と最新の人工衛星データの解析から、グリーンランド北西部における氷河変動を1985～2018年の33年間にわたって解明した結果を発表した。 　それによると33年の間に、全氷河の平均で氷が毎年0.6m薄くなっていることが明らかになった。この変化を詳しく調べたところ、85年～01年まではほとんど変化が見られなかったが、2001年以降には毎年1.3mの割合で急速に氷が失われていた。つまり、氷河融解が21世紀に入って急激に加速したことが明らかになった。 　 　さらに融解加速の原因を解析したところ、1990年代後半に顕著となった気温上昇に加えて、海水温の上昇、氷河の流動加速が氷河に強く影響していることが示された。 　この研究結果は、グリーンランドにおける氷の融解を正確に把握し、その原因を理解する上で重要となる。特に氷河変動が始まったタイミングとその原因が特定されたことで、氷河の将来変動予測に重要な示唆が得られた。グリーンランド北西部は日本の研究者が集中的に研究を行っている地域であり、この地域における環境変動を世界に先駆けて解明し報告したものとなる。 本研究成果は，10月20日公開の「Journal of Geophysical Research: Earth Surface」誌にオンライン掲載された。　 （参考） ◆グリーンランド　：北極海と北大西洋間に位置するデンマークの島で広さは約213万平方キロと、日本の約5.7倍。人口は約57,000人。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/211111_pr3.pdf