2021年11月29日
東北大、下部マントルの不均一性を解く鍵を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学金属材料研究所の杉山和正教授は29日、山口大学、岡山大学、惑星物質研究所などとの共同研究により、鉄(Fe)とアルミニウム(Al)の成分に富む中央海嶺玄武岩(MORB)組成から生成されるブリッジマナイト(下部マントルの主要鉱物)の単結晶合成に成功したと発表した。

 この単結晶試料に対するX線精密構造解析と、放射光メスバウア分光測定によって、下部マントルへ沈み込んだ海洋プレート(スラブ)の最上部を構成するMORB、つまり海洋地殻で生成されるブリッジマナイトが、電荷カップル置換というメカニズムによって、FeとAlが結晶構造中へ導入されることを明らかにした。
 
 下部マントルの化学組成の不均一性を解く鍵を握るMORB組成から生成したブリッジマナイトの単結晶構造物性を明らかにしたのは、世界で初めて。この手法は下部マントル中での地震波特性を知る有力な手掛かりになると期待される。
 
 同研究成果は11月24日に英国の科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。

<用語の解説>

■中央海嶺玄武岩
 マントル対流の上昇域にあたる中央海嶺で、マグマが海底に噴出し固結してできた玄武岩のこと。これが海洋プレートを形成し、水平に移動して最終的に日本列島のような島弧海溝系の沈み込み帯でマントルに沈み込んむ。沈み込んだ海洋プレートをスラブと呼ぶ。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20211129_01web_mantle.pdf