2021年12月03日
東大・脂肪細胞の「でき方」決めるエピゲノム解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

 東京大学 先端科学技術研究センター/東北大学大学院 医学系研究科の酒井寿郎教授らの研究グループは3日、前駆脂肪細胞のエピゲノム・プロテオミクス解析を行い、新規のタンパク質複合体が「いつ・どこに・どのように」存在するかが、脂肪を蓄える遺伝子のエンハンサーの状態を決めることを解明したと発表した。

 脂肪組織の中にある白色脂肪細胞は、栄養分を脂肪として蓄え、空腹時にはこれを分解して栄養分を血液中に供給するはたらきがある。しかし栄養の過剰により消費エネルギーとのバランスが崩れると肥満を発症する。脂肪組織の中には脂肪細胞になる以前の前駆脂肪細胞が存在する。

 細胞分裂後期に、エンハンサー上で、タンパク質複合体の中の特定のタンパク質が分解されると、エンハンサーが準備状態から活性化状態に変わり、前駆脂肪細胞から脂肪細胞ができることが今回わかった。

 これによりタンパク質複合体の「いつ・どこに・どのように」あるかが、脂肪を蓄える遺伝子の働きを調節していることが明らかとなった。 今後、生活習慣病の予防や新規治療法につながると期待できる。

同研究成果は12月2日に国際科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。


<用語の解説>
◆エピゲノム :ゲノムの塩基配列以外の後天的に書き換えられる遺伝情報をさす。具体的にはDNAのメチル化、ヒストンのメチル化やアセチル化など。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20211201_04web_epigenome.pdf