2021年12月06日 |
東北大、骨再生材料/リン酸八カルシウム開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学大学院 歯学研究科の鈴木治教授(顎口腔機能再生)らはこのほど、有用な骨補填材として期待されているリン酸八カルシウム(OCP)に、第3成分として生体由来高分子であるゼラチンの共存下で化学合成することで、高密度の転位を含み、高い自己溶解性と新生骨置換性を兼ね備えた高活性OCP骨補填材の開発に成功したと発表した。自己修復が難しい骨欠損を修復するために、自家骨に代わる安定供給可能な人工材料として注目される。 本材料による再生骨は、天然骨に近い性質を有することを大阪大学大学院の中野貴由教授(生体材料学)らが共同研究で明らかにした。さらに、OCPへの転位導入は、ゼラチンと同様の分子相互作用が期待できるいくつかの他の有機分子でも可能となることも見出して新たに特許出願した。今後骨再生治療が求められる医療への広い応用が期待される。 本成果は、12月2日に材料科学の国際雑誌「Applied Materials Today」オンライン速報版に掲載された。 <用語の解説> ◆リン酸八カルシウム :世界的に注目される新しい骨補填材。水溶液中からのHA形成の前駆体のひとつで、骨アパタイト結晶の前駆体とも考えられてきた生体材料。リン酸オクタカルシウムとも称される。多量の水を含むため、単一結晶相として焼結できないことから、生体由来高分子、天然由来高分子、合成高分子と組みあわせた複合体の研究が報告されている。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20211203_01web_ocp.pdf |