2022年01月06日 |
九大、うつ病症状改善の新治療法解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
うつ病は、気分の低下、不眠・食欲不振など日常生活に支障をきたす精神疾患だが、日本の治療抵抗性うつ病患者は、うつ病全体(推定695,000人)の約3割の約208,500人と推定され、社会全体にとっても大きな問題となっている。 九州大学病院 精神科神経科の平野羊嗣講師らの研究グループは6日、佐賀大学との共同研究で、治療抵抗性うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation: rTMS)治療後の抑うつ症状や認知機能の改善に一致して、脳活動が変化することを、通常の脳波計で明らかにしたと発表した。 本研究では、rTMS治療後に、磁気刺激部周辺では高周波の神経振動の出現量(パワー)が増加しただけでなく、刺激周辺部から他の領域への機能的結合も増加することを明らかにした。 これはrTMS治療により、うつ症状が改善するだけではなく、うつ症状の背景にある脳内の神経ネットワークも改善したことを意味する。また、従来の研究では、コストのかかる脳磁図計や高密度脳波計を利用していたのに対し、今回、より簡易な方法でrTMS治療後の脳活動の変化を評価することに成功した。 本研究の結果は、rTMSの効果に神経生理学的な根拠を与えるだけでなく、脳波計測と組み合わせた適切な治療プロトコルの構築に寄与すると考えられる。 同研究成果は米国医学雑誌 「Journal of Affective Disorders Reports」の1月3日付 オンライン版に掲載された。 ニュースリリース https://www.kyushu-u.ac.jp/f/46450/22_01_05_02.pdf |