2022年01月11日 |
東北大など、マントル境界の陥没原因を解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
高輝度光科学研究センターの丹下慶範主幹研究員をはじめ、東北大学、ドイツ・バイロイト大学などの国際共同研究チームは6日、大型放射光施設SPring-8とドイツ電子放射光施設の放射光X線を利用した高温高圧下その場観察実験により、上部・下部マントル境界条件で、秋本石-ブリッジマン石転移及びリングウッド石からブリッジマン石+ペリクレースへの分解反応の相境界を精密に決定したと発表した。 上部・下部マントル境界は通常の地域では深さ660 kmに位置するが、周囲と比較して低温であるプレートの沈み込み帯下では大きく陥没している。上部・下部マントル境界は、リングウッド石の分解によって引き起こされると考えられている。そのため、沈み込み帯下の境界の陥没は、比較的低温であるために起きるこの分解反応深度の上昇によると考えられてきた。しかし、リングウッド石の分解反応深度にはほとんど温度依存性がなく、実際の陥没を説明できるような深度変化が期待できない。 本研究では、リングウッド石分解反応とは対称的に、秋本石-ブリッジマン石の転移圧力が低温において大きな負の温度依存性を持つことが示された。これにより、沈み込み帯下における上部・下部マントル境界の陥没は秋本石-ブリッジマン石転移によって引き起こされることが明らかとなった。 本研究成果は、世界最高の学術雑誌、「Nature」に1月6日号に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220105_03web_mantle.pdf |