2022年01月12日
北大、日本沿岸の熱帯性魚種の詳細な分布予測発表
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 北方生物圏フィールド科学センターの仲岡雅裕教授と同大学院 地球環境科学研究院の藤井賢彦准教授らの研究グループは11日、地球温暖化にともなう海水温上昇により、日本の沿岸地域で熱帯性魚種の分布が将来的に拡大するとした、詳細な予測結果を発表した。熱帯化による熱帯性魚種の生息地の高解像度での推定・予測に成功した。

 有毒魚としてソウシハギ(Aluterus scriptus)と、アオブダイ(Scarus ovifrons)、草食魚としてノトイスズミ(Kyphosus bigibbus)とアイゴ(Siganus fuscescens)、観賞魚としてハマクマノミ(Amphiprion frenatus)とトゲチョウチョウウオ(Chaetodon auriga)に対してそれぞれの分布推定と予測を行った。
 
 この結果、今後、CO2を含む温室効果ガスの大幅削減を行わない場合、今世紀末には日本沿岸での生息地が現在よりも最大2倍程度拡大する一方、温室効果ガスを大幅削減する場合はその生息地が現在から大きく変化しないことがわかった。
 
 本結果成果は、パリ協定に従うなど、温室効果ガスの排出量削減に意欲的に取り組むことで、将来の沿岸地域の地球温暖化影響を大きく緩和できることを示唆している。さらに、数kmの高空間解像度の結果は、沿岸地域の地方自治体等が気候変動適応策を策定する際の科学的指針として直接利用することができると期待される。

なお、本研究成果は、2022年1月5日公開のFrontiers in Built Environment誌に掲載された。

(詳細はこちら)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220111_pr.pdf