2022年01月20日 |
産総研、検温用サーモグラフィーの温度基準装置開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:産業技術総合研究所 |
産総研 物理計測標準研究部門の雨宮邦招グループ長(応用光計測)らの研究チームは19日、非接触検温などで用いられるサーモグラフィーの測定温度の確かな基準となる平面黒体装置を開発したと発表した。 物体からの赤外線放射量を温度に換算して可視化するサーモグラフィーは、近年、新規感染症の防疫現場において非接触検温に利用されている。ただ、サーモグラフィーは外的要因などに左右されやすいため、取り扱いには注意点が多く、精確な温度基準の使用が推奨されてきた。 これまで温度基準には、平面黒体装置が使用されてきたが、赤外線の放射率が十分でないために周囲の温度や発熱体などの影響を受けやすく、精確な温度測定が困難だった。 今回、黒色樹脂の表面構造を工夫して赤外線における理想的な黒体に極めて近い材料を作製し、体温付近における温度と赤外線放射量をプランクの黒体放射の法則に基づき精確に換算できる平面黒体装置を開発した。 これにより、サーモグラフィーの性能試験、測定対象・周囲環境の影響といった誤差要因の評価のほか、温度表示の現場校正が可能になる。サーモグラフィーによる体表温度の精確な計測を通じて、非接触検温の信頼性向上へ貢献すると期待できる。 同技術の詳細は、1月26日~28日に東京ビッグサイトで開催されるオートメーションと計測の先端技術総合展、および1月31日~2月4日にオンラインで開催される産総研2021年度計量標準総合センター成果発表会で発表される。 <用語の解説> ◆平面黒体装置 :平面黒体装置温度に応じた量の赤外線を黒体面から放射する温度基準装置。黒体とは、赤外線を含むあらゆる波長の光を全く反射せず、温度だけで決まる熱放射をする物体をいう。完全な黒体は実在しないため、一般に大きな空洞に小さな穴を設けて模擬的に黒体を実現している(空洞黒体)。 ニュースリリース参照 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20220119/pr20220119.html |