2022年01月24日 |
徳島大と三洋化成、SAP用いてエクソソームを精製 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:三洋化成 |
徳島大学大学院 医歯薬学研究部の 冨永辰也准教授らの研究グループと三洋化成工業は24日、高吸水性樹脂(SAP)を用いてエクソソームを高精度・高収率に回収する精製法を開発したと発表した。 今後、同技術を通して疾病予防や健康寿命の延伸に貢献することを目指す。早期の社会実装に向け、共創パートナー企業を募る。 エクソソームは、細胞から分泌される微小粒体で、さまざまな情報を細胞間に伝達する。疾病の診断や治療にも使えるとして近年注目されている。しかし、その産業応用にあたっては回収、精製法に課題があった。 現在、エクソソームの精製法は、超遠心分離精製法やポリマー沈殿法などが主流だが、これらの精製法で得られたエクソソームには不純物が多く含まれ、純度が低いなどの問題があった。また、その他の精製方法においても、精製操作が煩雑で、回収に時間がかかる、高価であるなど、適切な分離法がなかった。 ■技術の概要と特長 徳島大研究グループは、尿などの検体を処理する際、不純物を SAP 内部に取り込み、エクソソームを SAP の表面に吸着させることで、特異的にエクソソームを分離する方法を見出した。 SAPは架橋構造をもつ親水性のポリマーで、自重の数百倍から千倍の水を吸収・保持して速やかに膨潤し、ゲル状になる。SAP を用いた分離法では、SAP の架橋ポリマーの網目サイズや表面吸着が分離精度に大きく影響する。 三洋化成は、1978 年に世界で初めて商業生産を開始して以降、さまざまなニーズに合わせて高付加価値の SAP を開発しており、これまでに多くのノウハウを蓄積してきた。今回、徳島大研究グループの基本構想・評価技術と三洋化成の SAP の設計・製造に関するノウハウを組み合わせ、エクソソームの回収・精製に適した精製法の確立に成功した。 新開発した精製法は、従来法と比べて迅速、簡便で、高純度なエクソソームを比較的短時間に多量に回収・精製することができる特長を有する。これにより、高純度なエクソソームを手軽に利用できるようになり、さまざまな疾患の早期診断や治療方針の決定につながる。創薬開発も期待できる。 <ニュースリリース参照> https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1642991988.pdf |