2022年01月26日 |
京大・調査「サルより遅いヒトの脳処理」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
「ヒトの脳処理のスピードはサルより遅い」という研究結果が出た。26日、京都大学霊長類研究所の中村克樹教授が世界で初めて発表した。「コンピュータは処理の高速化で進化する。しかし、霊長類の進化では、ヒトの脳処が遅くなった」という。 霊長類4種の脳波を無侵襲で計測したところ、音に対する大脳聴覚野の応答は脳が大きいほど遅く、ヒトで100 ミリ秒と最も遅延していることが分かった。 この遅延は、耳から脳に信号が伝わる時間が延びたのではなく、大脳聴覚野の中での処理時間が延びたことが主因だった。音の脳処理にかかる時間が長くなると、認知や反応が遅れる反面、言語のような複雑な音をじっくり詳しく分析できるメリットがある。 中村教授や伊藤浩介新潟大学准教授らの研究グループは、ヒトやチンパンジーを含む霊長類4種の脳波を計測し、大脳が音を処理する速さを比較した。結果、音の始まりを大脳が分析したことを示すN1という脳応答のタイミングが、ヒトで最も遅かったことがわかった。脳応答が遅いということは、じっくり時間をかけて音の分析をしているということ。言語や音楽のようなヒトに特有の高次脳機能は、「脳処理が速くなるのではなく、遅くなることで進化した可能性を示唆している」という。 同研究成果は22年1月20日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-01/20220120-nakamura-62f053a2ab50e57ae558f4542b70e791.pdf |