2022年01月31日 |
三洋化成と岡山大「リゾクトニア病」共同研究へ |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:三洋化成 |
三洋化成工業は31日、岡山大学の能年義輝研究教授(環境生命科学)らのグループと共同で、植物の難防除病害である「リゾクトニア病」の発病を抑制する環状ペプチド剤の開発に取り組むと発表した。 リゾクトニア病に対する抵抗性誘導効果を発揮する環状ペプチドは、能年研究教授らのグループが世界で初めて発見済み。三洋化成はペプチドの高効率生産技術や農薬などの製剤化技術を保有しており、今回、両者が共同で、これまで有効な防除法がなかったリゾクトニア病に対する対抗手段確立を目指す。 ■研究の背景と目的 リゾクトニア病は、Rhizoctonia solani という病原糸状菌が原因となり引き起こされる植物のさまざまな病害の総称で、多くの作物に対して甚大な被害を及ぼしているにもかかわらず、これまで有効な手段が見つかっていなかった。地球環境の変動に伴い今後さらなる被害拡大が懸念されることから、対策技術の開発が求められていた。 能年研究教授らのグループは、独自の探索方法により植物に処理した場合に抵抗性誘導効果を発揮してリゾクトニア病を抑制する特定の環状ペプチドを発見した。植物が生来もつ免疫力を活性化することによって発病を抑制する働きをもつことから、菌に対して作用する殺菌性農薬のように薬剤耐性菌が出現したり、環境微生物に悪影響を及ぼす可能性が低いのが特徴だ。 一方三洋化成は、微生物を用いてペプチドを効率的に生産する技術を保有している。また、ナノ粒子に環状ペプチド剤を内包したり、農薬をコーティングするなど、さまざまな製剤化方法により、徐放性や緩効性を制御する技術を有している。両者は協力して、これまで有効な防除法がなかったリゾクトニア病に対する対抗手段を確立し、農業被害の低減を目指す。 <用語の解説> ◆リゾクトニア病 : Rhizoctonia solani という病原糸状菌が引き起こす、紋枯病、芽枯れ病、株枯病、苗立枯病、黒あざ病、根腐病などのさまざまな植物病害の総称。土壌感染により根、茎、地際、葉などの壊死や崩壊を引き起こし、イネ、ジャガイモ、トマト、ハクサイ、キクなど多品目で収量の減少、収穫物の品質低下などの被害をもたらす。これまで有効な抵抗性遺伝子の報告はなく、従来の殺菌性農薬による防除方法では完全な防御が難しく、難防除病害の一つとされている。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1643603977.pdf |