2022年02月01日 |
東北大、数百ナノの半導体分数量子状態を発見 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東北大学 |
強相関電子系を理解する鍵となる分数量子ホール効果では、移動度が10・7(10の7乗)cm2/Vsを超える超高移動度GaAs/AlGaAsヘテロ構造での偶数分母状態のみが知られていたが、東北大学先端スピントロニクス研究開発センターの平山祥郎・総長特命教授らのグループは1日、典型的な半導体量子構造であるQPCでセンターゲートを有する構造を用いることで、通常の高移動度(10・6乗cm2/Vs程度)GaAs/AlGaAsヘテロ構造上での特別な偶数分母状態(3/2状態)がQPCの中央付近に実現できることを世界に先駆けて確認したと発表した。 この研究成果により、特別に高度なMBE装置を必要とする超高移動度のヘテロ構造を用いなくても、通常のある程度整備されたMBE装置で成長できる高移動度半導体量子構造でもエラーに強い量子操作の研究が加速されることが期待される。 なお、同研究成果は1月31日「Applied Physics Express」オンライン版に掲載された。 <用語の解説> ◆QPC :量子ポイントコンタクト。半導体量子構造の代表例。 ◆偶数分母状態 :分数量子ホール効果の中でも分母が偶数の分数量子ホール状態をいう。通常の分数量子ホール効果の理論では説明することができず、全く異なる統計に従う可能性が示唆されている。この場合、エラーに強い量子操作が可能になることが理論的に示され、欧米で積極的な研究が進められている。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220201_02web_fractional.pdf |