2022年02月02日
九大「味とにおいの成分を同時に検出」新分析法 開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学の研究チームはこのほど、「味とにおいに寄与する成分を同時に検出」できる新たな分析法を開発したと発表した。これまでヒトが口腔内で検知する味やにおいを同時に解析する技術はなく、食品の風味(おいしさ)を定量的に評価することはできなかったが、それが可能になった。
 
 従来の食品風味の分析法は、味成分は液体クロマトグラフィー(LC)、におい成分はガスクロマトグラフィー(GC)といったように、成分の化学的特性に合わせて分析法を選択する必要があった。さらに、分析を行う前段階で成分抽出などの前処理が必要なため、味とにおいの成分を食品そのままの状態で評価することは不可能だった。

 今回、九州大学大学院 農学研究院の田中充准教授らの研究グループは、揮発/不揮発性化合物に対する吸着能を有するグラファイトカーボンブラックナノ粒子(GCB)に着目した。そして、GCBをレーザー脱離イオン化質量分析(LDI-MS)のイオン化支援剤として利用することで、味成分(アミノ酸、核酸、糖など)と、におい成分(エステル、アルコール、アルデヒドなど)の同時検出に成功した。
 
 この新たな分析法のGCB-LDI-MS法は、煩雑な前処理の必要がなく、食品をそのまま分析することが可能だ。そのため、食品や農作物の風味・品質の評価に広く活用できる。従来、数値として表現が難しかった食品の風味や品質、おいしさの評価にも大いに役立つと期待される。
 同研究成果は22年1月25日に米国科学誌「ACS Applied Nano Materials」に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/46643/22_01_25_01.pdf