2022年02月14日 |
東北大、シグナル伝達の「偏り」とリン酸化機構 解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学大学院の井上飛鳥准教授(薬学研究科)らのグループはこのほど、理化学研究所と共同でβアレスチンの機能を制御する主要な因子であるGPCRキナーゼ(GRK)に着目した解析を行い、GRKがGタンパク質の一種であるGqにより機能制御される新たな分子機構を解明したと発表した。 細胞膜に存在するGPCRと呼ばれるタンパク質センサーは、薬剤の主要な標的として知られている。通常のGPCR作動薬は、シグナル伝達因子である三量体Gタンパク質とβアレスチンの双方を作動させる。一方、特定のシグナル因子の機能のみを誘導する「バイアス型作動薬」は、副作用を低減させた理想的な薬剤になると期待される。このような薬理作用のバランスは、これまで薬剤が結合したGPCRの「かたち」そのものに大きく依存していると考えられていた。 本研究成果を通じて、Gタンパク質とβアレスチンによる2つのシグナルバランスは、細胞膜に存在するGPCRの「かたち」だけでなく、細胞内に存在するGタンパク質の活性レベルがGPCRとGRKの「居場所」を変えることでβアレスチンの機能を調節するという、シグナルバランス制御機構の新たな概念を提唱した。 同研究成果は科学雑誌「Nature Communications」誌(1月25日付)電子版に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220210_03web_signal.pdf |