2002年03月13日
旭硝子、透明全フッ素樹脂ぺ一スの光導波路デバイス開発こ成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:旭硝子

 旭硝子は12日、NTTアドバンステクノロジ社(本社:東京、田崎公郎社長 以下、NTT-AT)と共同で、ブロードバンド時代の情報通信ネットワーク構築に不可欠な光導波路デバイスを、透明全フッ素樹脂をぺ-スとして開発することに成功したと発表した。
 
 このデバイスは、近赤外から通信用赤外光までの透明性に優れ、幅広い波長帯で使用できるという画期的な開発となる。
 
 光導波路というのは、屈折率の低い材料の中に、屈折率の高い材料を線状に埋め込み加工することで光を閉じ込め、電気配線のように光を曲げたり分岐したりする回路のことで、光スイッチ、光トランシーバなど、高速・大容量の光通信ネットワークに関連する各種制御機器のキーとなる重要なデバイスとなる。
 
 光導波路の材料としては、これまで主にガラスや一部のプラスチックが用いられてきたが、ガラスでは製法上、量産性が良くないこと、プラスチックでは光の吸収や偏波依存性といった問題があり、より量産しやすく、光学的に優れた材料が求めていた。

 同社は、ルキナのぺ-スにもなっている非晶質透明フッ素樹脂(製品名:サイトップ)を用い、光導波路作製に最適な材料を開発した。さらに、NTT-ATと共同で、同社の導波路設計技術及び加工技術を活用し、デバイス開発にも成功した。
 
 今回開発したデバイスは、今後、メトロ・アクセス系光ネットワークでの普及が見込まれる4chWWDM(wide passband-WDM)システム用光合分波器で、サイトップの特長である
1.広帯域における透明性(0.8~1.7μm のどの波長でも使用可能)
2.超低複屈折(非晶質であり異方性を持たない)
3.フッ素樹脂の持つ高い耐薬品性、環境性、耐吸水性(吸水率0.1%以下)
4.量産性(製膜が容易、ガラスに比べて低温プロセスで製作可能)
を備えている。

WDMの世界市場は2005年には5,000億円、2010年には3兆円と急拡大が見込まれている。

 同社は、今回開発した導波路作製技術を応用し、今後、合分波器、スイッチなどの光信号制御機器へ事業展開する。売上規模は、05年度5億円、10年度25億円を目指す。