2022年02月21日
住化・マイクロ波化学、省エネ・高効率水素 共同開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:住友化学

 住友化学は、マイクロ波化学の開発企業であるマイクロ波化学(本社:吹田市、吉野巌社長)と共同で、
メタンをマイクロ波によって熱分解し、水素を製造する新たなプロセス開発に着手した。2030年代前半をめどに年間数万トン規模の商業生産入りを目指す。

 水素は、各種合成樹脂や有機化合物などの化学製品の原料となるほか、燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、カーボンニュートラル社会実現に向けた次世代エネルギー源として注目されている。
 
 水素の製造方法のうち、温室効果ガス(GHG)の一種であるメタンの熱分解によって得られる水素はターコイズ水素と呼ばれる。この製法には、同時にカーボンブラックやカーボンナノチューブなど利用価値の高い固体炭素が得られる利点がある。だが、一方で、メタンの熱分解反応を進めるには膨大な熱を与える必要があることから、製造にかかるエネルギーをいかに低減するかが大きな課題となっている。

 電磁波の一種であるマイクロ波は、分子や原子の振動により反応器内の目的物を中から直接かつ選択的に加熱することができる。この特性から、反応器の外から目的物を間接的に加熱する他のプロセスと比較して、水素の製造に必要なエネルギーおよび CO2 排出量の低減や製造設備の大型化が可能となる。
 
 今回、住友化学が有する触媒・化学プロセスの設計技術と、マイクロ波化学が持つマイクロ波プラットフォーム技術を融合させることにした。26年度までに省エネ・高効率な水素製造プロセスの確立を目指すことにし、既にマイクロ波化学でラボスケールでの実験を開始している。

(参考)
◆水素の分類 :
(1)グリーン水素 : 再生可能エネルギーを利用して、水の電気分解で生成される水素。
(2)ターコイズ水素 : メタンの熱分解により生成される水素。固体炭素を副生。
(3)ブルー水素 : CO2回収・貯蔵プロセス(CCS)を利用して生成される水素。
(4)グレー水素 : 化石資源を原料として生成される水素。主に天然ガスの水蒸気改質により生成される。副生するCO2の大気放出を伴う。


ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1645410217.pdf