2022年03月01日 |
京大、眼の光センサータンパク質を眼以外でも活用 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学 理学研究科の山下高廣講師らの研究グループは、眼の光センサータンパク質を改変して、多くの細胞で重要な働きをするcAMP(環状アデノシン一リン酸)の濃度を光で一過的に変化させられる分子ツールを新たに開発したと発表した。 cAMPは、多くの細胞において分化・生存・極性形成・ホルモン分泌など重要な機能を果たすことが知られている。細胞内のcAMP濃度を人為的に変化させることができれば、細胞の機能を自由に操作してその重要性を明らかにすることができる。眼の中で視覚に働く光センサータンパク質であるロドプシンは、光で細胞内のcAMP濃度変化を誘導できることは知られていた。 そのため、細胞に直接触れることなく光を使ってcAMP濃度を変えることができる低侵襲的な操作ツールとなり得る。しかし、視覚ロドプシンを用いた場合には、光によるcAMP濃度変化が比較的長く続き、短時間で繰り返しの応答を誘導することが難しい、などの課題があった。 研究グループは今回、視覚ロドプシンにアミノ酸変異を加えることにより、cAMP濃度変化を短時間で一過的に起こすことのできる光センサー分子の作製に成功した。また、さらなる変異によりcAMP濃度変化を起こす時間を変えられることもわかった。眼の光センサータンパク質を眼以外の細胞で利便性よく活用できるように改変した新たな分子ツールとしての応用が期待できる。 同研究成果は、2022年2月25日に、国際学術誌「eLife」にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-02/20220225-yamashita-1ab77d39e070856d25b734c7ab8c9811.pdf |