2022年03月16日
北大、自由に発光をON/OFFできる白金錯体材料を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学院の小林厚志准教授(理学研究院)、関西学院大学生命環境学部の加藤昌子教授らの研究グループは15日、加熱すると簡単に融けて膜になり、自由に発光をON/OFFできる新たな白金錯体材料を開発したと発表した。

 光る金属錯体は、省エネ型ディスプレイの鍵になる有機ELや、発光で酸素濃度や外部刺激を検出するセンサーなど、次世代の光技術を支える重要な分子材料だが、このような光る金属錯体を膜化して大面積ディスプレイやパネルを作成するのは難しく、高温や高真空、多量の有機溶媒を必要とするなどの問題があった。

 研究グループは今回、明るく光ることで知られる白金錯体の融点を下げることでこの問題に取り組んだ。実際に、今回研究グループが開発した光る白金錯体は53℃という低い温度で融けるため、家庭用ドライヤーの熱でも融けて簡単に薄い膜になる。
 
 さらに、この錯体は融けたり凍ったりすることで、発光が消えたり復活したりすることもわかった。これを活用することで、引っかいた部分が凍結して光るという力学刺激を「見える化」する膜を作ることに成功した。
 
 この成果はディスプレイの簡単な作成につながる。周りの環境や刺激を「見える化」する光学センサーなど様々な材料への応用展開が期待できる。

 同研究成果は2022年2月12日公開の「Advanced Optical Materials」誌に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220315_pr.pdf