2022年03月18日
東北大、空気中の水分脱挿入 層状構造化合物発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 二酸化マンガンは電池の電極活物質に用いられる身近な材料だが、蓄熱材料として積極的に活用された例はなかった。東北大学金属材料研究所の市坪哲教授らの研究グループと、科学機器を製造・販売する(株)リガク熱分析機器事業部(本社:東京都昭島市、池田俊幸社長)は18日、二酸化マンガンの結晶構造が異なる各種の相(多形)に関する広範な調査の結果、層状構造を有する二酸化マンガンが繰り返し使える高性能な蓄熱材料として利用可能であることを発見したと発表した。また、この層状二酸化マンガンの吸放熱反応は、大気中の水分子のインターカレーション機構によって起こることを明らかにした。

 この吸熱反応を利用した蓄熱は、低級廃熱程度にあたる120-150℃という低温度で可能であり、優れたエネルギー密度、可逆性および反応速度を実現する。

 蓄熱した層状二酸化マンガンの発熱効果は、室温付近でも空気中の水分(湿気)を自然に吸収させることで容易に利用できるため、昼間の太陽熱を利用した夜間暖房、機械暖気、熱電発電など幅広い環境下での応用が期待される。同成果は3月17日、「Nature Communications」誌にオンラインで公開された。

(用語の解説)
◆インターカレーション機構(反応) :層状構造などの結晶がその結晶構造を保ったまま、イオンや分子を結晶構造中の空隙に収容する可逆的な化学反応。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220316_03web_oxide.pdf