2022年03月28日
九大、好熱菌を黒毛和種仔牛に投与し生産性を向上
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学大学院の髙橋秀之准教授(農学研究院)らは25日、理化学研究所などと共同で、好熱菌プロバイオティクス給与(C. hisashii給与)が黒毛和種仔牛の生産性を向上させ、その作用機序が環境負荷の少ない腸内制御に基づいている可能性があることを明らかにしたと発表した。
 
 C. hisashiiは、70℃以上で高温発酵した堆肥中から単離された好熱菌の一種で、マウスや豚に給与すると、成長を促進することは既に明らかにされている。

 今回、離乳直後の黒毛和種仔牛へのC. hisashii給与が、発育成績や腸内環境に及ぼす影響を検討した。その結果、C. hisashii給与により仔牛の飼料効率が向上し、腸内細菌叢の変化が関与することが示唆された。
 
 特に、給与した仔牛では、Bacteroidetes門の糞中に占める割合が増加した。Bacteroidetes門は牛の飼料中に多く含まれる繊維やデンプンなどの分解を得意とするため、Bacteroidetes門の増加は飼料効率の改善に関与している可能性があった。C. hisashiiを給与した仔牛では、メタン産生菌の一種であるMethanobrevibacter属の構成割合が減少した。牛のメタン産生菌の減少は生産性の向上だけでなく、地球温暖化の防止にもつながる可能性がある。
本研究成果は3月9日に英国の応用微生物学会誌「Journal of Applied Microbiology」に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/47310/22_03_25_01.pdf