2022年03月28日
宇部興、選択的アンタゴニスト 京大発VBと共同開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産は28日、京大発ベンチャーのHiLung(本社:京都市左京区、山本 佑樹社長)と、宇部興産の保有するリゾホスファチジン酸受容体1(LPA1)選択的アンタゴニストに関する共同開発契約を締結したと発表した。

 同化合物は、特発性肺線維症(IPF)の病態形成メカニズムとの強い関連があると考えられている LPA1 の選択的アンタゴニスト(神経伝達などの働きを阻害する薬)。IPF は指定難病である特発性間質性肺炎(IIPs)の一病型として知られ、一般に慢性進行性で肺の線維化と肺活量の低下をきたし、平均的には診断後 5 年程度で半数の患者が死に至るとされ、肺機能を回復させる治療法が肺移植しかないなどアンメットニーズが高い。
 
 IPF の明確な原因は不明だが、近年の基礎研究から肺胞における修復再生機構の異常が誘因となって線維化が惹起されるメカニズムが有力視されている。こうした異常をもたらす因子として注目される LPA1 の経路を阻害することで、同化合物が薬効を発揮すると期待されている。

 両社は 2021年 3 月に共同研究契約を締結し、HiLung が有するヒト iPS 細胞由来呼吸器細胞を用いた革新的な肺線維化モデルを用いて本化合物の有効性やメカニズムの評価等を行ってきた。非臨床の探索的な評価試験から、同化合物はこのアンメットニーズが高い IPF の治療に寄与できるとして今回の共同開発となった。2023 年度中の臨床試験開始を目指す。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1648433070.pdf