2022年04月01日
北大、過去150万年間の大気中CO2濃度を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学の山本正伸教授(地球環境科学院)、東京大学の阿部彩子教授(大気海洋研究所)らの研究グループは1日、ベンガル湾(インド洋北東部)堆積物に含まれる植物起源脂肪酸の炭素同位体比が過去の大気中二酸化炭素変動を表していることに気がつき、新手法として提案するとともに、過去150万年間の大気中二酸化炭素濃度の変動を明らかにしたと発表した。

 大気中の二酸化炭素は、将来の温暖化を予測するうえで重要。二酸化炭素が過去の気候変動にどのように影響したのかを詳細に解明することが必要となる。これまで過去の二酸化炭素濃度は、南極の氷を掘削して得られたアイスコアに含まれるガスを分析することで明らかにされてきた。

 研究グループは今回、ベンガル湾堆積物に含まれる植物起源脂肪酸の炭素同位体比が、過去の大気中二酸化炭素変動を表していることを、アイスコアの二酸化炭素濃度比較によって示した。その関係を利用し、80万年以前の大気中二酸化炭素濃度変動を初めて高精度・高時間解像度で明らかにした。

 この結果、80万年前以前でも二酸化炭素濃度が陸上氷床体積にほぼ同調して変動していたことが明らかとなった。予想外に100万年前よりも前の温暖だった時代でCO2濃度は決して高くはなかったことがわかった。また,100万年前よりも前の時代では、二酸化炭素が陸上氷床よりも早く変動していたのに対し、80万年前より後の時代では陸上氷床が二酸化炭素よりも早く変動していたこともわかった。本研究で用いた手法を用いて、さらに古い時代の CO2濃度が復元されることが期待される。
同研究成果は、4月1日公開の「Nature Geoscience」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220401_pr.pdf