2022年04月08日
東北大、世界最大規模の食中毒成分 一部合成に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

カリブ海や北東大西洋で、魚類の摂取によって発生する「シガテラ中毒」は、世界最大規模の急性自然毒食中毒とされ、患者発生数は年間2万~6万人に達している。その原因となる毒は、シガトキシン(C-CTX)で、これまで知られる類縁体のなかでも最大の分子量と複雑な構造を有する巨大ポリ環状エーテル天然物だ。

近年これによる中毒患者の発生が拡大・多発する傾向にあることから、その予防対策は世界的に急務の課題となっていた。だがC-CTX類は、自然界から純粋な試料を収集することが困難な微量成分のため、検出法の開発を含めて、C-CTXに関する研究は進まなかった。また構造が複雑なため、他の天然物と比べて化学合成も困難だった。

今回、東北大学大学院 生命科学研究科の佐々木誠教授のグループは、C-CTXの分子右半分の構造の化学合成に初めて成功した。本研究は、シガテラ中毒予防のための微量検出法開発に必要な抗体作製を可能にするだけでなく、標準試料の提供のための全合成への道を拓く重要な成果となった。

本研究成果は、4月1日付の日本化学会誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」(オンライン版)に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220407_03web_Caribbean.pdf