2022年04月13日
東北大、特定レアメタルに依存しないLIB正極材開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北大学

 電気自動車などに使用されるリチウム蓄電池の正極材料には、コバルトやニッケルなど特定のレアメタルを多く含む材料が用いられてきた。その理由は、正極材料に適した結晶構造を有する元素が限られていたためであり、他の安価な元素を混合しようとしても、一定の濃度を超えるといわば水と油のように「相分離」してしまうためだった。

 東北大学金属材料研究所の河口智也助教らの研究グループは13日、従来のように少数の元素種を混合するのではなく、多数の元素を同時に混合してエネルギー利得(配置エントロピー)を高めることで、層状酸化物構造で構成される単一の相からなる正極材料の合成に成功したと発表した。

 これにより、これまで利用困難だった元素の利用が可能になるだけでなく、新たな物性の発現や、分解抑制による安全性の向上、特定元素への依存による商業的リスクを低減した、新規な材料開発が可能になると期待される。また、今回研究では、そのようにして得られた正極材料の充放電時における劣化機構の詳細を明らかにすることで、新規高性能材料の開発に指針を示した。今後はさらに高性能で安全、コストパフォーマンスに優れた正極材料の開発の実現が期待される。
 同研究成果は4月11日、米化学会発行の「ACS Applied Energy Materials」誌にオンラインで公開された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220408_04web_Li.pdf