2022年04月15日
北大、大雪山系標高 1850mから新種のミジンコ発見
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の角井敬知講師(理学研究院)らの研究グループは15日、北海道大雪山系の高山帯河川から新種のカイミジンコを発見したと発表した。

 高山帯には過酷な環境に適応した生物や氷河期の遺存種などユニークな生物が生息しており、高山帯の固有種も多く含まれている。カイミジンコは二枚貝のように体の左右に2枚の殻を持った小さな甲殻類(エビなど)の仲間で、海域から淡水域までのあらゆる水環境に生息している。国内ではこれまでに約100種が報告されているが、高山帯からの報告はなかった。
 
 今回、大雪山国立公園内の高山帯を流れる北海沢ほっかいさわという河川からドウクツカイミジンコ属の1種が発見された。詳細に観察したところ、既知の種のいずれにも該当しない特徴を有する未知の種であることが明らかになったため、新種 Cavernocypris hokkaiensis(和名:シバレ ドウクツ カイミジンコ)として報告した。
 
 また分布調査・飼育観察などの結果から、本種は水温2~6℃と冷涼な北海沢のみに低密度で生息する、メスだけでふえる単為生殖種である可能性が示された。

今後、他の高山帯での採集調査や DNA 配列情報を用いた研究が進むことで、さらなる未報告種の発見や、高山帯生種の起源や分布形成史の解明が期待される。

同研究成果は4月5日付「Zoosystematics and Evolution」誌にオンライン公開された。


ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220415_pr.pdf