2022年04月18日
北大、磁化反転に応用可能な新原理トルク 世界初実証
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の山ノ内路彦准教授(情報科学)らと、日本原子力研究開発機構の研究グループは16日、ワイル点と呼ばれる特殊な電子状態をもつ酸化物の磁石ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)において,電気による磁化反転に応用可能な新原理を実証したと発表した。

 電流による磁壁の移動を用いて電気的に磁石(磁化)の方向を反転させる手法は、磁気メモリの情報書き込みへの応用が期待されている。SrRuO3では、この電気的な磁壁移動を高効率にできることは知られていたが、その原因は不明のままだった。

 今回、電流が磁壁に及ぼす有効磁場(磁場と等価な作用)の温度依存性を詳細に調べた。その結果、有効磁場は温度に対して2つのピークをもつ特異な温度依存性を示すこと、また、有効磁場の大きさは従来機構では説明できないほど大きいことがわかった。

 これらの実験結果と理論計算の比較から、この有効磁場の特異な温度依存性と大きさはこれまでの磁気制御研究の歴史上観測されていなかったワイル点に起因した新原理の機構で説明できることを初めて明らかにした。今後、磁気メモリの大幅な省電力化が期待できる。
同研究成果は4月16日付の「Science Advances」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220418_pr.pdf