2022年04月19日 |
東大・九大、世界初 ミュオグラフィによる気象津波観測 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学国際ミュオグラフィ連携研究機構は、九州大学、日本電気、英国シェフィールド大学など多くの海外研究機関と共同で、世界初となる海底ミュオグラフィセンサーアレイを東京湾アクアライン海底トンネル内部に設置し、このほど、2021年台風16号通過に伴う、東京湾における気象津波の観測に世界で初めて成功したと発表した。 ミュオグラフィとは、宇宙に由来する高エネルギー素粒子ミュオンを用いて巨大物体を透視する技術のこと。これまで火山、原発、ピラミッドなどの透視で成果を上げてきたが、海洋現象の観測に用いられたのは、今回が初めて。 気象津波のメカニズムはまだ完全には解明されておらず、将来、ミュオグラフィセンサーアレイを世界各国の海底トンネルに実装することにより、検潮所以外での津波データが取得できるようになり、今後メカニズム解明がさらに進ことが期待される。 <用語の解説> ◆海底ミュオグラフィセンサーアレイ(HKMSDD) 素粒子ミュオンを検知できるミュオグラフィセンサーモジュールを一定の間隔に配置したもの。ミュオンが検知されるたびHKMSDDの中央に位置するデータ収集センターに信号が集められ記録される。今回、東京湾アクアライン海底トンネル内部の100 mにわたり設置されたが、今後は北海、英仏海峡、フィンランド湾などに設置が計画されている。 ◆気象津波 気象津波、あるいはメテオ津波と呼ばれる現象は本質的には地震活動に伴う津波と同じだが、その成因を大気擾乱とするところが異なる。津波は半分閉じた湾や完全に閉じた湖などで発生することが多いが、英仏海峡など海の狭窄部でも発生が報告されている。今年1月に発生したトンガ噴火では、気象津波の影響により想定より早く我が国に津波が到来した。この際、空振が気象津波を引き起こしたとされる。 東京大学ホームページ https://www.kyushu-u.ac.jp/f/47692/22_04_14_01.pdf |