2022年04月27日
東北大、炭素繊維と樹脂から航空機の主翼性能予測
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学 流体科学研究所の阿部圭晃助教はこのほど、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の材料物性から,航空機の主翼性能を予測できるマルチスケール数値解析技術を確立したと発表した。これまで未解明だった、炭素繊維種の違いが航空機主翼の性能に及ぼす影響を初めて明らかにした。
主翼の設計時にはCFRPの材料破壊と表面パネルの局所座屈の双方を考慮した静空弾解析に基づく設計が重要とわかった。

 CFRPは、炭素繊維と樹脂の組み合わせによって様々な強度特性が実現できる軽くて強い材料で、近年、航空機の材料として広く使われつつある。だが一方で、数マイクロメートルの世界で生じる繊維や樹脂の破壊現象が航空機の主翼にどのような影響を及ぼすのかの予測は難しく、実験室サイズの手軽な実験が困難な航空機開発において大きなボトルネックとなっていた。

 今回、阿部助教らは、CFRPの破壊現象を捉えるミクロスケール解析から、航空機の飛行時に主翼が生む空気力と構造変形を精度良く捉えるマクロスケール解析まで融合したマルチスケール数値解析手法を構築し、世界で初めて、炭素繊維種の違いが主翼性能(重量・空気力)に及ぼす影響を明らかにした。 同成果は学術専門誌「Journal of Aerospace Science and Technology」4月15日付に掲載された。

<用語の解説>
◆静空弾解析 :静的空力弾性解析の略で、航空機の巡航時に主翼の構造変形と空気力が釣り合った平衡状態を予測する解析を指す。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220426_01web_CFRP.pdf