2022年05月11日
京大、温和な条件でアルケンのヒドロアルコキシ化達成
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学化学研究所の大宮寛久教授らの研究グループは10日、温和な条件で、アルケンとアルコールを原料に、ジアルキルエーテルを合成することに成功したと発表した。

 ジアルキルエーテルは医薬品・天然物に見られる重要な構造の一つ。アルコールの酸素―水素結合を切断しアルケンに付加させる「アルケンのヒドロアルコキシ化反応」は、高い付加価値をもつジアルキルエーテル骨格を簡便に構築する有機合成手法として知られている。だが、この反応を進行させるには硫酸のような強い酸の利用が必要であり、酸に弱い官能基を有する医薬品および天然物合成への適用は限られていた。

 研究グループは、青色LED照射下、弱い酸触媒、有機光酸化還元触媒、コバルト触媒の3つの触媒を活用することで、従来法よりも遥かに温和な条件でアルケンの分子間ヒドロアルコキシ化反応を達成した。
 
 同手法は高度に官能基化されたジアルキルエーテル化合物を、容易に入手可能なアルケンとアルコール原料から、1段階で合成することが可能であり、創薬研究の加速につながると期待される。
 同研究成果は4月27日、化学会誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-05/220510_ohmiya-452c617386cad5538ce2deac10e60f24.pdf