2022年05月30日
三菱ケミ、リチウムイオン電池向け負極材事業強化
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス

 三菱ケミカルホールディングスグループは30日、中国のグループ会社、青島雅能都化成(中国・山東省青島)と青島菱達化成(中国・山東省青島)で、リチウムイオン電池向けの新規開発製品である低膨張を特長とする天然系負極材の製造能力を、現在の 2,000 トン/年から 12,000 トン/年に増強すると発表した。負極材では従来の日本と中国に加えて欧米での製造販売の検討も開始した。

 リチウムイオン電池は、世界的な環境意識の高まりから電気自動車(EV)を中心とした車載用途の需要が急拡大している。車載用途の市場は年平均で 30%近い成長が見込まれており、主要部材である負極材についても車載用途に対応した高品質製品の需要が増加している。

■中国で製造ライン増強
 負極材は人造系黒鉛や天然系黒鉛を原料とするが、三菱ケミグループは製造工程で GHG 排出量が少なく、ライフサイクルアセスメントに優れた天然系黒鉛を原料とした製品に強みを持っている。加えて、独自開発の新技術により電池寿命に影響する膨張を抑制し、人造系黒鉛の性能を上回るグレードを新たに開発し、展開中だ。今回、青島雅能都化成および青島菱達化成で製造ラインの増強をきめた。2023年度前半稼働の予定だ。

◆欧米でも協業による製造を検討
 一方、自動車メーカーおよび電池セルメーカーのサプライチェーン戦略により、車載用途電池を欧州や北米で現地製造する動きが活発化している。三菱ケミカルも黒鉛鉱山を保有する海外企業と協業することで天然黒鉛原料の安定確保と欧米での製造販売の検討を開始する。その第一歩としてこのほど、モザンビークの鉱山で鱗片黒鉛を製造し、米国で負極材製造を行うSyrah Resources Ltd(オーストラリア)およびノルウェーに鉱山を保有し、オーストラリアでも立ち上げ検討中の Mineral Commodities Ltd(MRC 社)と協業に向けた覚書を締結した。今後の協業内容について本格検討していく方針だ。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1653876414.pdf